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桜の季節は、旅立ちの時。 私が、初めて一人でスーツを買ったのは、社会人になって何年たった時だったか。一人でも選べることを、母に誇示したかった。 娘の旅立ちを、心から喜ぶ母。 あの時、母が本当に気に入らなかったのは、その色や形や値段ではなくて、私が一人で買ったという行為だと気付いた時、私はほんの少し「母」を卒業できた気がした。
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明日は、小学校から高校まで、県下のいろんなところで入学式。 子どもたちの前に広がる新たな世界。 「あそこから向こう」は親の声の届かないところ。親の目の届かないところ。 小学校1年生の生活を描いた武田美穂の絵本シリーズがある(ポプラ社)。 できたら危ない目にはあって欲しくない。 「可愛い子には旅をさせよ」 |
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子どもたちの前に広がる新たな世界は、付き添いの親にとっても、自分がもう一度「生き直し」のできる、魅力ある世界。 90点を取って、一杯マルのついたテストを誇らしげに持ち帰った娘に、「どうして、こんな簡単なミスばかりしたの?」 今さら責任転嫁するわけではないが、「頑張れ!」と励まされ続けた私は、次第に戦いに疲れていった。 「何が何でも走らなければ」という強迫観念は、かなり大人になるまで続き、たとえ終日ヒマを持て余すような日であっても、好きな推理小説など読んでいると、「こんなことしている時間は無駄ではないのか」という後ろめたさにさいなまれ続けた。
世の中には、やってできないこともある。
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今年は、桜に限らず、どの花も早く咲くようだ。 ”百瀬の滝を登りなば たちまち竜になりぬべき 中国の、黄河の上流にある竜門という急流を上りきった鯉は竜になれるという故事があるという。 気持ちよさそうに、「橘薫る朝風」のなかを泳いでいるように見えるが、あの鯉のぼりたちは、日々努力して、登竜門を上って、竜になれといわれているのかもしれない。 先日TVのニュースで、岩倉の五条川の風景を見た。鯉のぼりを作るその地では、五条川で、鯉のぼりのさらしをするのだという。 男だから、女だからではなく、上げたいものが鯉のぼりを上げられる世の中。
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